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現役料理人がChatGPTに献立を丸投げしてやめた話|今も残っている3つの使い方

フレンチ・イタリアンで10年働く料理人が、ChatGPTを献立作成に使って分かったこと。丸投げをやめた理由、今も使っている3つの頼み方、AIには絶対に無理な領域まで、現場の実感で書きます。

2026年7月16日(更新:2026年7月16日

現役料理人がChatGPTに献立を丸投げしてやめた話|今も残っている3つの使い方
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「AIに献立を考えてもらえば、料理人の仕事は楽になるのか」

結論から言うと、楽にはなりました。ただし、最初に考えていた使い方は全部やめました。

フレンチとイタリアンの現場で10年、今も厨房に立っています。AI専門のライターではないので、プロンプトの理論的な話はできません。書けるのは、実際に使って残ったものと、消えたものだけです。

きっかけは「似たような構成になってしまう」こと

最初にAIを触った理由は、時短ではありませんでした。

何品も組み立てるとき、自分の引き出しだと構成が似てくる。これが悩みでした。

料理人には手癖があります。得意な火入れ、好きな酸味の付け方、無意識に選ぶ調理法。ひとつひとつの皿は成立していても、並べたときに「全部同じ方向を向いている」ことに気づく瞬間があります。冷静に見ると、味の方向も調理法も被っている。

これは経験が増えるほど強くなる癖でもあります。引き出しが増えても、よく使う引き出しは決まってしまうからです。

誰かに相談できればいいのですが、忙しい現場でそんな時間は取れません。それでChatGPTを開きました。

最初にやった失敗は「全部投げる」こと

最初は、こう使っていました。

この食材で、コース料理を考えてください

これは、やめました。

返ってくるものが悪いわけではありません。それらしいものは出てきます。でも、使えない。理由は2つあります。

ひとつは、自分の店の料理にならないこと。当たり前ですが、AIは私の店を知りません。何を出してきたか、常連が何を好むか、厨房に何人いるか、どの機材が空いているか。何も知らない相手が出す「正解」は、教科書の答えでしかありません。

もうひとつは、判断力が鈍ることです。丸投げして出てきた案を眺めていると、自分で考える工程が抜け落ちます。数回やって、これは危ないと思いました。料理人にとって、構成を考えることは筋肉です。使わなければ落ちます。

今も残っている3つの使い方

やめなかったのは、自分で骨組みを作ってから、アドバイスを求めるという使い方です。

考えるのは自分。AIは相談相手。この線を引いてから、急に役に立つようになりました。

① 食材と「方向性」を渡して、案を出させる

一番使っているのがこれです。

この食材を使う。さわやかな方向で。3案出して

ポイントは**「さわやか」「がっつり」といった方向性を必ず添える**ことです。食材だけ投げると、当たり障りのないものが返ってきます。方向を指定すると、選択肢が急に具体的になります。

ここで大事なのは、出てきた案をそのまま使わないことです。3案のうち2案は使いません。でも、その2案が「自分では選ばなかった方向」を教えてくれます。手癖の外側が見える。これが欲しかったものでした。

② 何人前かの換算をさせる

この料理を〇人前にするには

地味ですが、これは素直に助かります。

分量の換算は、頭を使うのに創造性がない作業の代表です。しかも間違えると痛い。ここを渡せると、頭のスペースが空きます。

ただし出てきた数字は必ず確認します。調味料は単純な比例にならないことがありますし、そもそも計算間違いをすることもあります。任せるのではなく、下書きを作らせる感覚です。

③ 原価の相談相手にする

原価を削れそうなところは?

これも骨組みができた後に投げます。

面白いのは、自分が見落としていた箇所を指摘してくることがある点です。もちろん的外れなことも言います。「その食材を変えたら料理が変わるだろう」という提案も多い。それでも、頭を切り替えて見直すきっかけにはなります。

一人で考えていると、原価は「もうこれ以上削れない」と思い込みがちです。その思い込みを外す用途としては優秀です。

AIには絶対に無理なこと

ここは、はっきり書いておきます。

味付けは、AIには絶対に無理です。

その日の気温と湿度で、塩の入り方は変わります。同じレシピ、同じ分量でも、夏と冬では別の料理になる。厨房に立って、舐めて、決めるしかない領域です。数字とテキストで扱えるものではありません。

お客さんの好みも同じです。

あの常連は酸味を嫌う。あのテーブルは量を残す。今日の客層は年齢層が高い。こういう情報は現場の頭の中にしかなく、そしてこれが献立の質を決めます。

AIができるのは、構成の相談までです。味を決めるのは人間の仕事で、この線は当分動かないと思っています。

実際、どれくらい楽になったか

体感で、献立を考える時間は半分になりました。

正確に測ったわけではないので、数字として保証はできません。ただ、はっきり変わったことがあります。「うーん」と唸って止まる時間が減ったことです。

料理人の時間が溶けるのは、手を動かしているときではありません。手が止まって考え込んでいるときです。そこに相談相手がいると、詰まらずに進みます。時間が半分になったというより、止まる回数が減ったという感覚のほうが近いかもしれません。

それでも足りなくて、アプリを作りました

使っているうちに、不満が出てきました。

毎回同じ前提を説明するのが面倒。「うちの食材はこれ」「この方向で」を毎回書き直す。それが積み重なると、地味にストレスになります。

それで、プログラミングは未経験でしたが、AIに教わりながら献立アプリを自作しました。なんつく? というサービスです。冷蔵庫にあるものを入れると、AIが献立を提案します。

料理人が作ったので、入力していない食材を勝手に足さないことにはこだわりました。AIに献立を頼むと「豆腐も加えましょう」と、ないものを提案してくることがあります。家庭でそれをやられると、結局買い物に行くことになる。あれが嫌でした。

作ってみて分かったのは、AIは道具でしかないということです。何に困っているかが分かっている人が使えば強い。分かっていない人が使うと、それらしい答えが返ってくるだけで終わります。

まとめ:AIは弟子ではなく、相談相手

料理人がChatGPTを使うなら、こう考えるのが一番しっくりきています。

  • 丸投げしない。 骨組みは自分で作る
  • 方向性を渡す。 「さわやか」「がっつり」の一言で精度が変わる
  • 味は渡さない。 気温も湿度も客の顔も、AIは知らない

AIは弟子ではありません。何でも任せられる相手ではない。でも、深夜に構成で詰まったとき、文句も言わず付き合ってくれる相談相手としては優秀です。

私はこの使い方に落ち着くまで、何度か遠回りしました。同じ遠回りをしなくて済むように、この記事を書きました。

#プロンプト#料理人#献立
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